
ほんとうはすべて知っていた。
心の底流(undercurrent)が導く結末を。
夫が失踪し、家業の銭湯も手につかず、途方に暮れる女。
やがて銭湯を再開した女を、目立たず語らずひっそりと支える男。
穏やかな日々の底で悲劇と喜劇が交差し、出会って離れる人間の、充実感と喪失感が深く流れる。
映画一本よりなお深い、至福の漫画体験を約束します。
「今、最も読まれるべき漫画はこれだ!
すでに四季賞受賞作で確信していたその物語性と演出力に驚く。
豊田徹也は心の底流に潜む、なにかの正体を求めるように静かに語る。
」――(谷口ジロー)


コメント
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
改めて考え直す漫画でした。
登場人物には語らせず表情などから考えを読み取らせるような構成がよかったです。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
友人の紹介で夫の捜索を頼んだ私立探偵と、住み込みで銭湯に雇われたポーカーフェースの謎の男。
静かに緩やかに氷解していく隠されていた事実。
嘘つき女と嘘つき男。
この人は本当にただの漫画家なんだろうか? かつて漫画は映画であると本に書いた手塚治虫の教授を久しぶりに思い出した。
まるで良くできたドラマを1本観終えたような感動が静かに心を揺らす名篇だ。
気まぐれに手にした「珈琲時間」があまりにも面白かったのでずっと探していた豊田徹也の長編は、やっぱりただの漫画とは思えないほど完成された上質の物語だった。
道化探偵の山崎がここでも活躍している。
ただもう素晴らしいとしか言いようがない。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
映画みたい、だからといって映画化を望んでいるわけじゃないし、漫画より映画の方がすごいって言いたいのではないけれど。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
暫く営業を休んでいたが、改めて再開することにした。
組合から技師である堀を紹介され、彼の寡黙ながら真面目な仕事ぶりに助けられつつ、順調に銭湯は運営される。
しかしかなえには夫の失踪のほかに、ずっと心の奥に閉まっていた辛い過去があった。
本作で出てくる登場人物はみんな極端に口数が少ないけれど、内に各々想いを抱えながら生きている。
多くは語らずとも、登場人物のちょっとした心の動揺や変化が伝わってくる絶妙な描写。
結局のところ何も変わらないかもしれない。
でも、それぞれが前に踏み出せればいいなと思う。