
ほんとうはすべて知っていた。
心の底流(undercurrent)が導く結末を。
夫が失踪し、家業の銭湯も手につかず、途方に暮れる女。
やがて銭湯を再開した女を、目立たず語らずひっそりと支える男。
穏やかな日々の底で悲劇と喜劇が交差し、出会って離れる人間の、充実感と喪失感が深く流れる。
映画一本よりなお深い、至福の漫画体験を約束します。
「今、最も読まれるべき漫画はこれだ!
すでに四季賞受賞作で確信していたその物語性と演出力に驚く。
豊田徹也は心の底流に潜む、なにかの正体を求めるように静かに語る。
」――(谷口ジロー)


コメント
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
心の領域なんて踏み込めない場所ばかりなのに、解ってほしくて解りたくて、人間ってなんなんだろ。
後半の展開が速すぎた気もしますが、あの速さだから良いのかしら。
難しいことや伏線などを考えて読むより、ストーリーをのみこみながら読むべきだったのかな。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
雑誌を見てもすぐに読み飛ばしてしまう。
年のせいだと思っていたが、この本は珍しく1コマも読み飛ばさずに最後まで一気に読んだ。
一見地味に見える絵やストーリーなのに、実はかなり考え込まれて作られているのだろうか。
でもサラっと読める。
そして読みたい時に、すぐに読みたい所へ戻って読める漫画の特性を生かした話になっている。
最後まで読み終わって、また最初から読んだ。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
著者の作品は初めて読んだけれど、回想や風景の差し込み方は映画的であり、細やかに演出されたリズムに乗って物語に没頭することができた。
大切なものの喪失=不在が、アンダーカレントの姿を明らかにする。
痛いほど分かる。
再会の場面で語られた悟の言葉は、かなえの苦悩や不安と比べると掴みどころがなく呆気ない。
現実もそのようなものかしれない…だからこそ、完璧に理解することは難しくても、相手を分かりたいというその気持ちが尊いのかもしれない。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
決してみんながみんな前に進んでいけるわけじゃないのに、読んでいるうちにふつふつと湧き上がるものがあって、それをなんだろうかと考えると、どうしようもなくて遣る瀬無い想いだった。
だからこそ、サブ爺の最後の言葉が響く。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
風鈴のすずやかな音色は涼をもたらし、
かまの中の薪はパチパチと火の粉をとばしながら、はぜている。
タイルを磨くブラシの音は心地よいリズムをうみ、
ページをめくるごとにそれらの音は耳に心地よく響く。
そう、だからこそ
音が失われてしまった瞬間、
訪れる静けさはひと際目を引く。
失われた音を、その原因を探ろうと、わたしは目を凝らす。
信じられない程の哀しみが、痛みが、裏切りが、
彼女から彼女の生活から音を奪ってしまったことに愕然とする。
あまりの完成度の高さに驚き
作品の余韻に身を委ねたまま、
わたしは静かに本を閉じる。